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「'30s GRAPHICS-アメリカン・アール・デコのグラフィックデザイン」展@国際デザインセンター デザインミュージアム

2005年04月09日
デザインミュージアム名古屋市は「デザイン都市宣言」なるものをしているらしく、デザイン関係には力を入れているらしい。そういう訳でデザイン関係の人材育成を目的として、栄ミナミ(矢場町)のナディアパークというビルには国際デザインセンターというものがある。ナディアパークにはLOFTや紀伊國屋書店、「クレアーレ」という高感度ブティック街のようなものも入っているので、一般的にはこっちのイメージが強く、国際デザインセンターの存在すら知らない人も多い。
まぁそんな感じで一般的には影の薄い施設ではあるが、デザインミュージアム(左の写真)とギャラリーがあり、その他レクチャーや研究開発などをやってるらしい。きっとものすごい赤字だろうが、名古屋市からの助成金でしのいでいるのだろう。

そのデザインミュージアムでやっている「'30s GRAPHICS-アメリカン・アール・デコのグラフィックデザイン」展を見に行った。ナディアパークにはよく来ているが、実際このミュージアムに来たのは私もこれが初めて。思った通り、土曜なのにガラガラ(^^; でも、展示内容はなかなか良かった。

今回の展覧会は、このミュージアムが収集・所蔵しているアメリカン・アールデコのポスターを中心に、この時代のインダストリアルデザインも含めた展示である。私はアールヌーヴォーやロシアアヴァンギャルドなど、ポスター芸術というものに特に興味があるのだが、アールデコのというのはあまりよく知らなかったので、今回はいい機会だ。

アール・デコというのは20世紀初頭のデザインムーブメントで、19世紀末に流行したアール・ヌーヴォーの曲線的なデザインとは対照的に、直線的で幾何学的なデザインが特徴的である。ヨーロッパからアメリカに波及していったが、ニューヨークの摩天楼は一番分かりやすいこの様式の建築だ。
第一次大戦で戦場となって疲弊したヨーロッパと違い、国土が戦場になることがなかったアメリカは、大戦後未曾有の反映を誇り、アール・デコの文化が花開いた。狂乱の20年代、ジャズ・エイジ、断髪の女性。この時代は、現代の消費社会の原型が出来た時代だった。

特に女性の新しいライフスタイルが出来た時代で、それまでは固いコルセットとロングスカートに押し込められ、従属的な態度を強いられていたのが、短く髪を切り、昼はオフィスで仕事をし、夜は動きやすい軽いドレスを着て、化粧をしてタバコを吹かしカクテルを楽しんだ。そうした「新しい女性」のマーケットが誕生し、現代まで続くファッションブランド(シャネルetc.)・化粧品ブランド(ゲラン、コティ、メイベリンetc.)が次々と登場した。
また、それまでは装身具は上流階級のものだったが、普通に働く女性も身に着けるようになり、こうした女性でも買える値段のものが求められた。この時代は新素材が次々と開発された時代でもあったので、プラスチック製のアクセサリーなど、コスチューム・ジュエリーが誕生した時代でもあったのだ。

という訳で、今回の展示では初期のメイベリンのマスカラ(当時は今みたいなスティック状ではなく、小さな箱に入っていた。多分筆で塗るのだろう)とか、ゲランの香水のポスター(かっこいいデコのデザイン!)、ビーズ刺繍の短いドレス(「シカゴ」や「コットンクラブ」を思い起こしてください)、幾何学デザインのプラスチックジュエリーなんかもあって面白かった。

さて、今回の展覧会の中心であるポスターに話を移そう。この時代は印刷技術が飛躍的に向上し、カラー印刷も普及していった。娯楽が上流階級だけのものから一般大衆へも広がっていった時代なので、消費者への直截的なマーケティングツールとして、ポスターの役割はこれまでになく重要になった。向上した印刷技術を駆使し、大胆なレイアウトデザインと印象的な色彩のポスターが数多く生まれた。
交通機関の発達に伴い、「一般大衆の観光旅行」という娯楽が生まれ、国内の様々な観光ポスターが作られた。30年代にはシカゴ万博やニューヨーク万博も開かれたので、万博関係のポスターも特徴的だ。

今回の展示で、私が一番強く感銘を受けたのは「WPA」のポスターだ。30年代の大恐慌で、ルーズベルト大統領がニューディール政策を打ち出したが、事業促進局(WPA=Works Progress Administration)の支援プログラムのポスターがめちゃめちゃかっこいいのだ。大胆で力強いレイアウト、インパクトの強い色彩。同じ時代で、政府主導のものだからだと思うが、ロシア・アヴァンギャルドのプロパガンダポスターに近い匂いを感じた。この時代のアメリカのポスターデザインには知識がなかったが、「WPA」という新たなジャンルを発見出来て大収穫だった。

ニューヨーク万博のポスター

↑ニューヨーク万博の公式ポスター

RUR

↑WPAのポスター。このごっついイラストレーション!かっちょい~!

Training in Art

↑これもWPAのポスター。この驚くほど斬新なレイアウト!たまりません。

アール・デコは装身具やインテリアなど身の回りのものの実例は結構知っていたのだが、ポスター、特にWPAに関しては今回初めて知ったので、来て良かった。
それと、装身具や小物の展示はものすごい仕掛けのメカニカルな装置で展示してあって(数個の大きな箱(中に展示品が入っている)がエレベーターみたいに動く)、デザインに興味のない人でも楽しめそう。

ミュージアムといってもそれほど大きな所ではなく、ほとんどギャラリーなのだが、この時代の空気を多面的に見せてくれていて、展示内容はとてもよかった。
ロフトと同じフロアにあるのだが、ここの存在はロフトの客には全く無視されていたのが惜しい。もっと客を呼ぶ工夫をしないと。お役所仕事ではなく、商業的に頑張んないと。

■国際デザインセンター デザインミュージアム
名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク・デザインセンタービル4階 Map
Tel. 052-265-2106
開館時間:午前11:00~午後8:00(入館午後7:30まで)
地下鉄名城線 矢場町駅から徒歩5分
http://www.idcn.jp/
WPAのポスターに関して、以下のサイトもご参照ください♪

By the People, For the People: Posters From WPA, 1936-1943
WPA Posters
WPA Poster Art
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