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「ツイン・ピークス」再見

2014年02月25日
前回の記事でも書いたが、Huluで「ツイン・ピークス」をもう一度全部見直してみた。こういう昔見たのをもう一度見る、って時はやっぱ見放題がいいね。

「ツイン・ピークス」と聞いて「おおっ!」と思うのは団塊ジュニア以上だと思うので、一応解説。
「ツイン・ピークス」はデヴィッド・リンチ監督の、90年代前半に世界的な大ブームを巻き起こしたカルトドラマなのであります。リンチ監督はそれ以前にも「イレイザーヘッド」や「ブルー・ベルベット」などの映画作品でカルト的な人気を誇っていたが、一般的な知名度がグッと上がったのは、この「ツイン・ピークス」によるものでありましょう。

今のようなスタイルでアメリカのテレビドラマが日本で見られるようになったのは、「ツイン・ピークス」が最初だったと思う。確かにそれ以前からも一部の米ドラマは日本でも人気だったが、「刑事コロンボ」にしろ、「大草原の小さな家」にしろ、地上波テレビでの放送で、家族と一緒に見るものだった。「ツイン・ピークス」は1991年4月のWOWOW開局と同時に放送されるという「衛星放送で見るドラマ」の先駆けであり、レンタルビデオで一気見、という今の米ドラマブームに続くスタイルを作り上げた作品だと思う。

舞台はアメリカ ワシントン州、カナダ国境まで8kmの架空の街、ツイン・ピークス。深い森に包まれ、時代の流れから取り残されたような小さな田舎町で、ハイスクールの人気者だった美少女、ローラ・パーマーの死体が発見される。湖畔でビニールにくるまれた姿で発見されたローラの死は、犯罪とは無縁ののどかな町に衝撃をもたらす。しかし、一見のどかな田舎町に見えるツイン・ピークスは、裏ではドラッグや暴力、陰謀、殺人などの暗黒面を持っていた。そして、深い森の奥には「何か」があった・・・

twinpeaks1.jpg

「世界一美しい死体」とのふれこみの、ビニールにブーケのようにくるまれたローラのイメージ↑は強烈で、怪しい人物ばかりのツイン・ピークス町民の人間関係、謎が謎呼ぶローラの日記、深い森の北ヨーロッパのような寒々しい風景にドはまりする人続出。当時私は二十歳そこそこで、まさにストライクゾーン。私は地上波で放送されてから見たが、確か毎週土曜の深夜、ワクワクとテレビの前に座ったのであった。
また、当時はグランジブーム席巻でワシントン州のシアトルが世界的な注目を集めており、シアトル近郊が舞台というのも相乗効果があったと思う。なんとなくアメリカ北西部がイケてるような空気だったw
なお、ロケ地はシアトルから車で30分くらいのスノコルミーという町周辺で、当時はロケ地を巡るツアーも大盛況。印象的な滝に臨む「グレート・ノーザン・ホテル」は、実際にはSalish Lodge and Spaという高級リゾートホテルである。

さて、前置きが長くなったが、私がこの作品をまた見てみようと思ったのは、当時見始めは熱狂的にはまったのに、途中からなんだかついていけなくなり、結末にもモヤモヤしたものが残り、スッキリしない印象をずっと持っていたからである。
このモヤモヤ感は作品が不出来だったからなのか、私が若くてバカだったから理解出来なかったからなのか、もう一度確かめたいという気持ちをもう20年くらい持っていたw

このドラマは、「誰がローラ・パーマーを殺したか?」というのがやはり一番のキモであるのでミステリーかと思いきや、超自然的なものがフツーに出て来るので、「ミステリー風のホラーサスペンス(&コメディ)」としっかり認識してから見た方がいいと思う。
主役はFBI特別捜査官のクーパー(変人だが)であるし、当時視聴者はみんなクライムサスペンスとしての展開を期待していた。
しかしクーパー(カイル・マクラクランはこれ以上ないほどのハマり具合)の捜査法は夢のお告げが根拠だったり、瓶に石を投げて決めたりと「科学捜査」というものから程遠い( ;´Д`) 優秀な捜査官ではあるのだが、エキセントリック過ぎて視聴者は「ポカーン」w

ただ、かなり初期段階からローラを殺したのは超自然的なもの、という描写は何度も出て来るので、改めて見てみたらあの「ポカーン」は視聴者の思い込みのせいだったかも、という気もする。
また、リンチとマーク・フロスト(リンチと共同で脚本担当)の一番描きたかったのはツイン・ピークスの町と住民であり、誰が犯人かということにはそれほど重きを置いていなかったのではないか?とも思う。異様なほどにキャラクターの私生活を細かく描写しているし(本筋とは関係ない場合が大半)、架空の町の細部を描き込みたくて仕方がなかった、というのが改めて見てみた後の印象である。
キャラクターは突飛な人物ばかりだし、トレカがほしくなる程だw
なお、リンチ自身も耳が遠くてやたら大声で話す、クーパー捜査官の上司という役所で出演している(これ、好きなキャラクターw)。

しかし、改めて見てみると話の展開がほんとに遅いので、今のドラマに慣れた目にはじれったさを感じると思う。
変なキャラクターの変な私生活ばかり描いていて、ちっともローラ殺しの犯人探しが進まないw
でも当時もやはり「だから犯人は誰なんだよ」という世間の声が大きかったので、制作側もプレッシャーに負けてシーズン2の半ばで犯人を明かしてしまった。犯人が分かってしまうと急速に視聴者は興味を失い、視聴率も急降下。

またリンチもフロストも別映画の制作があったので、シーズン2の大半には関わっておらず、脚本も監督も別の人がやったものばかり。特にシーズン2の後半は散漫な印象で、当時私が飽きて来たのもこの辺だった。
ウィンダム・アール(かつてのクーパーの相棒)の復讐のくだりは、あんなにダラダラやらずに2話くらいで決着を着けた方がメリハリついてよかったんではないか?

けれども最終話はフロスト&リンチ脚本、リンチ監督という元々の布陣で、改めて見たらすごく良い出来だった。さすがの鮮やかな手腕である。
昔見た時はスーパーナチュラルな結末にモヤモヤした印象があったけど、今見てみるとホラーとして正しい終わり方だった。
ということは、モヤモヤしたのはシーズン2後半の散漫さのせいであって、超自然的決着のせいではなかったのであった。

と、全体像を再確認して思うに、やはりこのドラマの一番の見所は、生き生きと変な事をする変なキャラクター達だ。
それと、一般的なテレビドラマのレベルを遥かに超える美女がたくさん出て来るので、これもポイントだ。



↑左からローラの親友、ドナ役のララ・フリン・ボイル、グレート・ノーザン・ホテル社長の娘オードリー役のシェリリン・フェン、ダイナーのウェイトレスのシェリー役のメッチェン・アミック。
他にも香港から来た美女、ジョシー役に「ラスト・エンペラー」の皇后役のジョアン・チェンが出演している。

昔見た時は若かったから分からなかったのだと思うが、役者として一番輝いているのは、グレート・ノーザン・ホテル社長のベンジャミン・ホーンを演じている、リチャード・ベイマーなんじゃないかと歳食ってから思ったw ホーンは地元の名士で手広くやってる実業家なのだが、裏では相当悪どい事をやっている。この悪党をベイマーさんは実に楽しげに演じている。悪党だけどどこか憎めないキャラクターなのだ。
調べてみてびっくりしたのだが、彼はあの「ウエストサイド物語」のトニーをやっていた俳優さんなのであった!

そして、美しい自然の風景。この魅力が占める割合も半分くらいあると思う。
この↓オープニングのタイトルバックでも十分感じてもらえると思う。



それから、何度も出てくるダイナーのおいしそうな食べ物。チェリーパイはブームになったし、クーパー捜査官激賞のコーヒー、保安官事務所にいつもたんまり並べてあるドーナツ。これも楽しい見所だ。

「ツイン・ピークス」の魅力、それは「鳥獣戯画」の魅力と似ているのかも知れない。

(なお、ドラマ終了後にドラマの前日譚として「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間」という映画も撮られているが、こちらは未見)







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