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「シリーズ アメリカ近代写真のパイオニア エドワード・ウェストン」展(+ 「江戸の誘惑」展)@名古屋ボストン美術館

2006年08月17日
「オウムガイの貝殻」 「ピーマン」

1月のアンセル・アダムズ展、5月のアルフレッド・スティーグリッツ展に続き、シリーズ第3弾のエドワード・ウェストン展名古屋ボストン美術館まで見に行った。今回のウェストンは、私の最も好きな写真家なので一番楽しみにしていた。

エドワード・ウェストン(1886-1958)は当初はその当時流行していたソフトフォーカスの絵画風写真から出発し、そういう作風でかなり高い評価を受けていたが、やはりスティーグリッツの「ストレート写真」に衝撃を受けて転向した。
彼は非常に鮮明な静物のクローズアップ写真や、造形的なヌード写真などで有名である。特に「オウムガイの貝殻」(上の左側の写真)や「ピーマン」(右側の写真)は彼の代表作だ。私が彼の作品を初めて見たのはいつ頃だったか覚えていないが、この「ピーマン」には相当な衝撃を受けた。ありふれたピーマンが、こんなにメタリックに撮れるということに驚愕した。そしてどこか官能的な雰囲気も漂う。彼は物体を肉体のように、肉体を物体のように撮る。ヌード写真(下の写真)は後に彼の妻となるカリスを写したものが多いが、体の部分をオブジェのように撮っている。それに比べてこのピーマンは、まるでメイプルソープの黒人メイルヌードのようだ。貝殻や野菜をこんなにエロティックに撮る人を私は他に知らない。
中期はこういったモダニズムを極めた作風だったが、後期になると荒涼とした自然の中で見付けた造形的な物体や、砂漠の中の風景を撮るようになる。「ホット・コーヒー」(一番下の写真)のように、砂漠の中に忽然と現れたコーヒーカップというシュールな風景。彼は当時盛り上がりを見せていた、シュールレアリスム運動にも鋭く反応していたのだろう。

今回の展示は枚数もかなり多く、ウェストンの軌跡がよく分かり、見応えがあった。彼の写真集は持っているので家でも見られるんだけど、やっぱりこうしてズラッと並ぶとどういう写真家なのかよく理解出来る。精緻なクローズアップやこれ以上ないほどの絶妙なフレーミング。ありふれたものを全く別のイメージに見せてしまう技術。写真とは一瞬を切り取るもの、と言う言葉がまさに実感出来る偉大な写真家だ。
今回のシリーズ展のような試みは日本ではあんまり見たことがなかったので、まさにこの辺の写真家が大好きな私には非常にありがたい企画だった。

「ヌード」


「ホット・コーヒー」


Edward-Weston.com
アーティストガイド - エドワード・ウェストン

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さて、上記のウェストン展は「オープンギャラリー」での展覧会で、この美術館としてはあくまでもサブ。メイン会場の「ボストンギャラリー」では「ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑」展をやっていた。私はウェストン展を目的に行ったんだけど、どうせだからこっちもついでに見てみた。この辺は特に詳しくはないけど、前々から浮世絵には興味を持っていたので。私はなぜか知らないけどラインを強調した作風のものに惹かれる傾向があるのだが(だから印象派は大嫌いだ)、浮世絵はその極み、っていうか原点のようなものだし。
浮世絵というのは通常は版画だが、時に特別な注文などにより、浮世絵師は肉筆の一点ものの作品も描いた。明治時代に日本にやってきたアメリカ人医師、ウィリアム・ビゲローは、菱川師宣や喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重などの数多くの肉筆浮世絵を買い集め、そのほとんどをボストン美術館に寄付した。

一点ものの肉筆ということで、屏風や掛け軸に描かれたものが多かったが、やはりその主題は庶民の行楽風景とか吉原の花魁などが多い。で、やっぱ美人画が多数を占めるのだが、私はあんまりそういうものには興味がない。興味を引かれた、と言うかやっぱすごいと思ったのは葛飾北斎だ。その迫力は群を抜いている。伝説の妖怪や獅子、鳳凰、龍などが今にも飛び出て動き出しそうな勢いだ。「鏡面美人図」という美人画もあったが、これは鏡に顔を映している女性の後ろ姿で、非常に斬新な構図。
浮世絵にはあまり知識もなかったけど、北斎が私の好みに合うらしい、と言うことが分かったのが収穫だった。寄っていってよかった。

名古屋ボストン美術館は赤字で存続が危ぶまれていたらしいけど、この日は大入りだったぞ。ボストン美術館から所蔵品を貸してもらう代わりに、あっちに何十億も寄付をしているらしい。それが赤字なので市で問題になったらしいが、寄付金を減らすことで一応存続出来たらしい。私は名古屋に来て一番通ってるのがここなんだけどな。私好みのものをやってくれることが多いのかな。
「だから赤字なんだよ」とダンナさんに言われた(笑)。そりゃそーだ(^^;
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