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『くノ一忍法帖』

2005年08月29日
こちらの記事でも書いたが、買ってあった山田風太郎の『くノ一忍法帖』を読み終えた。
いやぁ~、すごいっ!久々に「作者の筆力」というものに圧倒された感じだ。遥か昔の10代の頃、スティーブン・キングの作品を初めて読んだ時を思い出すような(確か初めて読んだキングの作品は『クリスティーン』だったと思う)。ものすごい力業でねじ伏せられたような気分だ。

物語は大坂城落城の直後という設定で、家康の孫娘で豊臣秀頼に嫁いでいた千姫は、落城前夜に救出され、現在は家康の庇護下で江戸の屋敷に住んでいる。しかし、救出直前に、千姫の承認のもと、真田幸村は千姫の侍女の中に忍ばせていた女忍者5人に、秀頼の子種を身ごもらせる。徳川家の血を引きながら、秀頼の復讐に燃える千姫は、この女忍者達が産む秀頼の子によって徳川家に揺さぶりをかけようとしていた。それを知った家康は、子供が産まれる前に女忍者達の抹殺を伊賀忍者に命ずる。千姫のことは目に入れても痛くない家康だが、いったん滅ぼした豊臣家の血が復活することは断じて許せない。かくして真田の女忍者と伊賀忍者の死闘が始まる・・・。

というストーリーで、数々の奇想天外な忍法が出てくるのだが、これが全部エロ忍法(笑)。行為中に相手の男の生命をすべて吸い取って枯らしてしまう「忍法 筒枯らし」とか、数え切れないほどの裸の女の生々しい幻を男に見せて狂わせる「忍法 幻菩薩」とか、とにかく全部そういう系の忍法ばっかりだ。伊賀忍者(全部男)の使う忍法も全部エロ忍法。で、真田の女忍者と伊賀の男忍者はこのエロ忍法合戦でバッタバッタと殺し合っていく。
伊賀忍者達はどいつもこいつも精力絶倫の徹底的な悪人で、女忍者達はどれも妖しい魅力を持った絶世の美女。これがエロ忍法を使いまくって殺し合うんだから、面白くない訳がない。

忍者合戦に後の春日局である阿福といった実在の人物が絡んだりと、絶妙に虚実を織り交ぜて、極めて複雑精巧に構築されたストーリーは見事としかいいようがない。また、氷の意志を持って冷たく燃える美しい千姫は、ひやりと妖艶で魅力的だ。山田風太郎はこういう月のような女を描くのが上手いと思う。
あと、所々で出てくる忍法の「現代的な」解説だが、医学を修めた作者らしく書いてあるのがちょっと微笑ましい。

巻末で花村萬月も書いているが、確かに山田風太郎の作品には麻薬のような魅力があり、耽溺してしまう毒物が入っている。物語は社会体制や人間としての論理道徳をせせら笑うような内容であり、どこから見ても「悪書」に違いない。なんていうか、とても「ロック」な感じだ。
バッタバッタと登場人物が死んでいく所は、『バトルロワイヤル』にはまった若い読者にもおすすめだ(ってか、こういう手法は山田風太郎の方がオリジネイターだ)。

ヴィレッジヴァンガードには山田風太郎の作品って置いてないよな、確か。あの店のセレクトの趣旨で行けば、こういう内容なんだからあって当然なのに、ないとは何たることか。いつも感じていたことだが、あの店の棚は何となく紋切り型の「サブカル臭」「ロック臭」がして、型にはまったセレクトだ。村上龍とか夢野久作とかバロウズとかブコウスキーみたいな「いかにも」ばっかじゃなくて、こういう作家も並べればいいのに。

今はあらゆる著名人の死に様を集めた『人間臨終図巻〈1〉』を読んでいるのだが(これ、全3巻あって読み終わるのが大変だ)、今年の夏から秋は久々に山田風太郎のマイブームが吹き荒れているのであった。改めてすごい作家だと思う。彼の作品に出会えた人は、きっと耽溺すること必至だ。

追記:
今、宣伝をよくやってる仲間由紀恵とオダギリジョーの映画「SHINOBI」は、「甲賀忍法帖」が原作なんだそうだ。再びブームが来るのか?
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